10の月22日 |
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メッカニア連邦からの使者が、 成長したクーリアを買い取りに来る。 僕のガドに高値がついたらしく、 今日の食事はいつもより多かった。 でも、殺された変種の子の後始末を したので、食べる気になれない。 |
変種は生まれ次第撃ち殺す。それが 村の掟だ。変種は人になつかず 売り物にならない。そして何より、 不吉の象徴だった。 …大人たちの間では。 |
でも、僕にとっては同じクーリアだ。 変種の証である不思議な青白い光も、 災いの前兆だなんて思えない。 |
1の月25日 |
ジグが熱を出した。お産が近いので つきっきりで世話をする。こいつを 死なせてしまったら、ひどく叱られる ことになるだろう。 結局みんなは、腕のいい世話係が 欲しいだけで、それが僕である必要は ないのかもしれない。 |
1の月26日 |
ジグは死んでしまった。思ったとおり 叱られたし、食事も抜かれた。けど、 そんなことはもうどうでもいい。 僕は、みんなに嘘をついた。 みんなに死産だと言った変種の子は、 いま、物置の隅で寝息をたてている。 |
掟を破るつもりはなかった。 ただ、殺せなかった。 こいつの肩から生えている小さな翼が 僕の心を捉えてしまったから。 そう、こいつには翼があったのだ。 |
1の月27日 |
変種の子には、ラギと名づけた。 僕がなぜこいつを育てる気になったか 聞いたら、みんな、きっと僕のことを 笑うだろう。 村の言い伝えや写本には、決まって ドラゴンが出てくる。そして、ラギの 姿は、そのドラゴンを思わせるのだ。 |
自分でも、子供じみた考えだと思う。 それでも僕は、ラギの成長した姿を 見てみたい。そして、一度でいいから あの翼で飛んでみたい。 小さい頃に聞いたおとぎ話に出てきた ドラゴン乗りのように。 |
9の月8日 |
ラギの成長は、驚くほど早い。一歳の 誕生日を迎えるころには、すっかり 大人になっているだろう。 はばたく力も上がっている。運動の ために走らせていたら、一瞬だけど 体が浮かんだ。この分だと、本当に 空を飛べるかもしれない! |
10の月19日 |
昨日、僕は帰る場所を失った。 住んでいた家も、村のみんなも、 あの光とともに消えてしまった。 突然現れた、旧世紀の巨大な機械。 その機械が放った一条の光は、僕の 生まれた村を、黒焦げの廃墟に変えて しまった。 |
飛ぶ練習をするために、村の外に 出ていた僕らだけが助かった。 不思議と涙は出なかった。目の前で 村が燃えているのに、なにか悪い夢の ように思えて仕方なかった。 むしろ、その後に起きたラギの異変が 僕を恐れさせた。 |
宙に浮かぶ旧世紀の機械に向けて、 ラギが放ったもの…それはドラゴンの 「光の矢」だった。 僕の夢想は、現実になってしまった。 今まで僕のまわりにあった、全ての 現実を代償にして。 |
10の月23日 |
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旅に出てから3日目。キャラバンから 水と食料を分けてもらう。 例の旧世紀の機械(みんな「フネ」と 呼んでいるようだ。メッカニアが発掘 したものだという)の行方も聞いた。 どうやら帝国との国境地帯に向かって いるらしい。 |
どうして旧世紀のフネを追うのか、 実のところ自分でもよくわからない。 かたきを討つ? 少なくとも、最初はそういう気持ちで 動いていたかもしれない。 |
でも、今はそれだけじゃない。 なぜか、使命感に似た気持ちがある。 あの旧世紀のフネを、このまま放って おくわけにはいかない。ラギの翼が 力を貸してくれる限り、僕はあれを 追い続けるつもりだ。 |
11の月2日 |
国境地帯での戦に巻き込まれる。 旧世紀の武器を使った戦は、今までの ものとは全然違う。攻性生物のような 乗り物が無数に空を飛び交い、それを 撃ち落とそうとして、様々な色の光が 天に放たれる。 |
まるで、神々の戦のようだった。 でも、戦っていたのは普通の兵隊だ。 神の乗り物に乗っていても、僕と同じ 人間だったはずだ。 なのに、身を守るためとはいえ、僕は 彼らを撃ってしまった。 何のためらいもなしに。 |
戦っている間、僕はラギと一体に なったようだった。恐れは消え去り、 自信と使命感が全身にあふれていた。 あれは僕自身の意思なのか…それとも ドラゴンとしてのラギの意思が、僕を 突き動かしていただけなのか。 |
そのラギは、また新たな力を見せた。 戦いを終えたラギは、光を放ちながら 一瞬で脱皮を遂げた。 あれが、ドラゴンの成長のやり方 なのだろう。 |
11の月14日 |
森の上で、また帝国軍と出くわす。 その武器や規模より、彼らが人間で あるという事実の方が恐ろしかった。 彼らと正面から戦っていたら、また 無数の兵士の命を奪っていたはずだ。 |
とっさに逃げ込んだ森の中には、村の 焼け跡で見た巨大な攻性生物がいた。 おそらく、旧世紀のフネと行動を ともにしていたのだろう。 徐々に、フネとの距離が縮まって いくのを感じる。 |
攻性生物を倒した後、僕は初めて 旧世紀の遺跡に入った。 遺跡の中は、想像とはまるで違った。 番人のように襲ってくる攻性生物の 群れ、大陸全てが潤うほどの湖、 奇妙な機械が眠り続ける迷宮。 そこには、死の匂いだけがあった。 |
11の月16日 |
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ゲオルギウスに来て2日目。 あのフネを追って、とうとうこんな ところにまで来てしまった。 人間の世界は、数万リオンの彼方だ。 いまさらながら、孤独を感じる。 |
ラギの姿も、何度も変身するうちに すっかり変わってしまった。光の矢の 威力も格段に上がった。まさに伝説の ドラゴンそのものだ。 でも、心だけは、昔のままのラギだと 信じたい。ラギだけが、ただひとつ 僕に残されたものだから。 |
ドラゴンといえば、また例の奴を 見かけた。村の焼け跡でラギを叩き 落とした、もう1頭のドラゴンだ。 あれから時々姿を現すが、襲ってくる 様子はない。 あいつも、旧世紀のフネを目指して いるのだろうか? |
12の月3日 |
今日の出来事を、どう言葉にすれば いいのだろう。 ゲオルギウスに沈んだ旧世紀のフネ。 例のドラゴンが、異形の姿となって 挑んできた最後の戦い。 そして、その戦いに勝った後に、 ラギが見せてくれた幻。 |
ラギが僕のもとを去ったという事実も あの幻ほどには心を動かさない。 別れの一瞬、僕は、ラギが秘めている 秘密を託されたのだ。 彼と、そして世界の誕生の秘密を。 |
なのに、あの時理解したことが、もう 思い出せない。夢の中で悟った真理を 目覚めとともに忘れてしまった… そんな感じだ。 今はただ、胸が苦しい。あまりにも 大きなものを抱え込んで、心の中が 渦巻いている。 |
12の月6日 |
旧世紀のフネの残骸を見つけた。 内部は、死んだように静まりかえって いた。攻性生物もみんな死んでいた。 ラギが、秘められた力を使って、 フネの命を封じ込めたのだ。 |
フネの中心には、力を使い果たして 眠るラギの姿があった。 石のように冷たく固まってはいたが、 彼の命の灯は消えていないことを 僕は知っている。僕の胸の中にある 何かが、そう教えてくれる。 |
いつの日か、ラギは力を取り戻して 大空に帰っていくだろう。そして、 その背中には、たぶん僕ではない 誰かが乗っているだろう。 でも、僕はそれを悲しまない。 託されたものを失わない限り、彼は 僕とともにあるのだから。 |
空中船のある広場にて待つ。 日が落ちたら来い。 |
ツァスタバの走り書き |
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オレや大佐のかわりに 閣下を守ってくれ。 たのむ。 |
クレイメンの手紙 |
2度も彼女を助けてくれた事、 礼を言う。 だが、正直、彼女は 君には荷の重過ぎる存在のはずだ。 実際に、そのままでは、 彼女が意識を取り戻す事もない。 |
私にとって、いや、君にとって納得の できる終幕を始めよう。 アゼルと共に塔に来るがいい。 君たちの侵入コースを開けておく。 K.F.クレイメン |
はじめに |
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君がこれを読んでいるということは、 私の命を受けたシーカーたちが、 正しきドラゴン乗りとして、君を 見出したことを意味する。 私もまた、君と同じくドラゴンと 出会い、『塔』をめぐる戦いに身を 投じた者である。 |
戦いが終わった時、我が友であった ドラゴンは、自らの存在の秘密を 私に託して去っていった。 のちにシーカーの一員となった私は、 「編み人」達の協力を得て、それを 読み解こうとしてきたが、全てを解明 するには至らなかった。 |
ここに書き記すのは、私に託された 秘密の、ごく一部でしかない。 わずかな知識ではあるが、私と同じ 境遇に立つ君の助けとなれば幸いで ある。 |
ドラゴンの誕生 |
世界をいまの形に定めているのは、 『塔』と呼ばれる遺跡群である。 各地に建造された塔は、旧世紀の 世界管理の要として、攻性生物による 死の裁きを司っている。 |
だが、旧世紀においても、塔の存在を よしとしない者たちがいた。 塔の創造主たちは、彼らによって塔が 破壊されることを怖れ、世界の泉 「ウル」の胎内から、塔の守護者たる 最強の攻性生物を産み出した。 それが、ドラゴンである。 |
それぞれの塔に1頭ずつ授けられた ドラゴンは、与えられた使命を今でも 果たし続けている。 旧世紀の兵器を操る帝国軍でさえ その守りを破ることはできない。 ドラゴンの力に対抗できるのは、 同じドラゴンだけなのだ。 |
異端のドラゴン |
君が乗るドラゴンは、我が友の魂を 宿している。 それは、この世でただ1頭の、 「塔を殺す」ドラゴンの魂である。 ゆえに、君は他のすべてのドラゴンを 敵に回さなければならない。 |
ドラゴンの異端児である我が友は、 その誕生もまた異端であった。 我が友は、クーリアの変種として生を 受け、私の庇護のもとで育った。 そして、塔のひとつと遭遇したとき、 突如ドラゴンの力に目覚めたのだ。 |
彼がなぜ異端の誕生を遂げたのか、 それは定かではない。彼が私のもとで 幼き日を過ごしたのも、単なる偶然で しかなかったのかもしれない。 しかし、彼は私を乗り手に選び、 塔によって故郷を滅ぼされた私もまた 彼の翼と力を欲した。 |
我々の旅は、空の塔・シェルクーフを ゲオルギウスに沈めることで終わり、 力を使い果たした我が友は、肉体を 捨てて深い眠りについた。 それが、再び生ある身体に目覚め、 新たな乗り手として君を選んだという わけだ。 |
新たな乗り手へ |
おそらく我が友は、君を塔に導こうと していることだろう。 それは、塔の死滅という彼の目的に、 我々には知り得ない理由で、乗り手が 深く関わっているからだ。 |
どうか、我が友に力を貸して、彼の 目的を果たす手助けをしてほしい。 それは、旧世紀の意志から世界を 解き放つことであり、ひいては 君自身の上にも投げられた死の影を 打ち払うことにもつながるのだ。 |
ムービーで使用した絵 |
かつて、 世界は、神とともにあった。 人は、神の栄光のもとにあった。 万象は、幸いをなすものであった。 |
原初の朝、 神は、すべての人を創造した。 みずからにかわって、 世界を創造させるためである。 弱き人にそれを可能ならしめるべく、 神の持てる知恵は、 ことごとく人の魂に注がれた。 |
原初の昼、 人は、世界を創造した。 いかなる人の道具より強い道具と、 いかなる人の火より熱い火が、 万象にかたちを与えた。 |
我らの目に映るものは、ただひとつを のぞいて、この時に創造された。 水や草や獣は、人の糧として、 遺跡は、人と神の家として、 攻性生物は、人のしもべとして、 それぞれの役割を果たした。 |
原初の黄昏、 人は、争いを始めた。 闇を知らぬ人は、黄昏を恐れ、 心乱して殺しあった。 |
このとき、神の知恵は、 ことごとく争いに用いられた。 神の火は、地を焼きつくし、 神の道具は、命あるものを打ち殺し、 攻性生物は、人を喰う軍勢となった。 |
原初の夕べ、 神は、人にかけたのぞみを捨てた。 神は、人の世を去り、 神の知恵もまた人の魂から去った。 人の作ったすべてのものと、 人の壊したすべてのものが、 人自身とともに打ち捨てられた。 |
水や草や獣は、人からその姿を隠し、 遺跡は、人に扉を閉ざし、 攻性生物は、人を喰い続けた。 かくして、 神は、人の世とともになく、 我らは、神の栄光からへだたり、 万象は、我らに災いをなす。 |
我らは、打ち捨てられた人の世にて、 生の苦役をつとめねばならない。 それは、我らにつらなる人の犯した あやまちゆえである。 再び神の栄光を求めるならば、 死に至るまでの道をもって、 さばきを受けねばならない。 |
その道が、神ののぞみにかなった時、 死せる人は、はるか東方の恵みの森に 置かれる。 その地には、生の苦役も、 人の世のあらゆるけがれもなく、 万象が人に手を差しのべる。 |
その道が、神ののぞみをはずれた時、 死せる人は、新たなからだとともに 再び人の世に打ち捨てられる。 よき道を歩まないかぎり、人は、 何度でも苦難の生をつとめ、 何度でも死の闇を味わい、 何度でもさばきの前にさらされる。 |
すべての人が、神ののぞみにかない、 はるか東方の恵みの森に置かれた日が 人の世の終息の日となる。 人なき人の世は、再び無にかえされ、 恵みの森から出たすべての人が、 新たな世界の創造をになう。 |
打ち捨てられぬ人の手によって けがれなき世界が創造された日が 原初日のよみがえりとなる。 神は再び世界の上に立ち、 栄光と幸いを世界にもたらす。 それは、終わりのない一日であり、 我らに約された救済である。 |
ドラゴンは、 人のほかに神が創造した ただひとつのものであり、 争いのけがれを受けなかった ただひとつのものであり、 神が打ち捨てなかった ただひとつのものである。 |
原初日の終わり、 神は、人を打ち捨てて世界を去った。 人が互いに争い、 神ののぞみからはずれたためである。 以来、人はさばきを待つ身となり、 死に至る道をよりよく歩むことが つとめとなった。 |
しかし、万象のなす災いは、 絶え間なく人を殺し続け、 さばき得る道を人に歩ませなかった。 ゆえに、神はドラゴンを創造して、 人の世に放った。 |
ドラゴンは、救いの手であり、 また、さばきの目である。 ドラゴンは、よき人を助けるために、 また、人の争いを絶つために、 人の世の上を飛び、その力をふるう。 |
防がれない光の矢と、 貫かれない殻と、 力尽きない翼が、 すなわち、ドラゴンの力である。 人の世のいかなるものも、 ドラゴンの前には無力である。 |
ドラゴンの力を求めるならば、 人よ、神ののぞみにかなう者であれ。 矢は、つねに争いの地に放たれる。 殻は、つねによき人の守りとなる。 翼は、つねによき道の上にはばたく。 |
よき人への戒め |
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守護地に生まれた人よ、心せよ。 あなたの血は、さばきを経て選ばれた よき人につらなる。 あなたの血は、終息日において、 新たな創造の手となる人に流れる。 |
あなたは、あなたの血をけがしたり、 薄めたりしてはならない。 打ち捨てられた人と交わることも、 いたずらに子孫を増やすことも、 つつしまなければならない。 なぜなら、新たなるゾアの民は、 つねに神の手で置かれるからである。 |
あなたは、生から死に至る道を すべてゾアの地で歩まねばならない。 なぜなら、地上はすべて、争いの けがれを受けているからである。 ゾアの外に立ち、再びけがれた者は、 再びさばきを受けるさだめを 負わなければならない。 |
あなたは、ゾアの外から来た糧を とってはならない。 なぜなら、それらの糧は、すでに 打ち捨てられたものだからである。 あなたは、森のもたらす恵みのみで 命をつながなければならない。 |
守護地に生まれた人よ、忘れるな。 あなたの上に降る「護り火」は、 掟と引きかえであることを。 その光は、終息日まで、 絶えることがあってはならない。 |
祈りの掟 |
守護地に生まれた人は、 司祭によって定められた夜に、 神への祈りを捧げなければならない。 まず、祈りの夜の来る日には、 清められたわき水のほかには、 何も口にしてはならない。 |
その日の日没までに、水を浴びて身を 清め、ワント麻で織られた新しい布で 作られた服をまとわねばならない。 また、祈りの夜の間は、いかなる 燈火も用いてはならない。 |
祈りの前に食物を口にした者、 祈りの前に身を清めなかった者、 日々の営みのけがれをまとったまま 祈りを捧げた者、地上の燈火によって 「護り火」をけがした者は、 ただちに守護地を去らねばならない。 |
はじめに |
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スキアド・オプス・ランディと 「編み人」ピネハスによる記録。 以下に記すのは、ウル近辺で発掘した 情報系構造体に収められていた記録の 解読である。 |
その内容は、「ドローン」と呼ばれる 創造物に関するものである。しかし、 このようなものが実際に発掘されたと いう記録は、「編み人」の間には 伝わっていない。 |
ドローンの機能 |
他種自律構造体との同調・制御。 複雑かつ巨大な構造体と同調するには それに比例して高度な思考レベルが 必要となる。 しかし、思考レベル80以上の個体の 生産は、自我発生の可能性が極めて 高いので、全面的に禁じられている。 |
自我発生による障害 |
自我発生症状をきたしたドローンは、 以下の障害を併発する。 1)同調機能障害 2)論理パターン混乱 3)命令認識障害 |
これらの障害の修復は極めて困難で あり、ほとんどの症例が廃棄処分と なっている。 ただし、同調機能障害については、 強度の心理的ショックによって修復 する場合がある。 |
エネルギー補給 |
エネルギー消費量が極めて低いため、 特定の場合(休眠状態からの再起動・ ショックによる機能停止時など)を 除き、外部からのエネルギー補給は 不要である。 |
生産・稼動状況 |
思考器官の複雑さゆえに、生産数は 微々たるものであり、重要度の高い 生産施設の統括用として、優先的に 配備されている。 また、高機能攻性生物の頭脳として 利用する計画も進行中である。 |
はじめに |
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「編み人」ギムトによる記録。 以下に記すのは、ウル近辺で発掘した 情報系構造体に収められていた記録の 解読をまとめたものである。 その内容は、ウルの北方に位置する 『塔』の構造を示している。 |
もし後世、志ある者がこの塔を目指す ならば、それは必ずや困難な道のりと なるであろう。 ここに書き残す記録が、その者を導く しるべとなれば幸いである。 |
塔内部の移動経路 |
塔内部は5つの層に分かれているが、 それぞれは断絶しており、各々の層を 行き来するためには、15階から成る 外周部を通らなければならない。 塔内部の移動経路は、以下のように なっている。 |
1)最上層から外周部13階へ→ 13階から昇降機で12階へ→ 12階から上部格納層へ 2)上部格納層から外周部11階へ→ 11階から昇降機で9階へ→ 9階から中間層へ |
3)中間層から外周部8階へ→ 8階から昇降機で6階へ→ 6階から下部格納層へ 4)下部格納層から外周部5階へ→ 5階から昇降機で4階へ→ 4階から最下層へ |
中間層の回転機構 |
中間層には、外周部の構造を変える 回転機構が存在する。 これを作動させると、外周部8階と 9階が一部つなぎ変わり、移動可能な 範囲が変化する。 9階から8階、8階から6階に 移る際には重要な場所となるだろう。 |
動力装置の停止方法 |
塔内部には、ローター・パイルと 呼ばれる動力装置が6基存在する。 これが起動すると、層内の移動が 阻まれるが、外周部にある制御装置で 停止させることが可能である。 制御装置の場所は以下の通りである。 |
・1号基…外周部15階東側 ・2号基…外周部14階西側 ・3号基…外周部7階西側 ・4号基…外周部4階東側 ・5号基…外周部3階西側 ・6号基…外周部3階北側 (階下からのみ進入可) |
はじめに |
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「編み人」ザドクによる記録。 旧世紀の支配者たちは、この世界の 命を支え、それを脅かすであろう 人間の数と力を抑えるため、各地に 強力な管理機構を遺した。 それが『塔』である。 |
旧世紀の管理からの解放という我々の 目的は、すべての塔の破壊もしくは 無力化と言い換えてもよい。 以下に記すのは、多くの「編み人」 たちが積み重ねてきた、塔に関する 研究をまとめたものである。 |
塔の機能 |
個体によって役割は多少異なるが、 塔の機能は大きく2つに分けられる。 すなわち、環境維持・再生機能と 攻性生物生産・統括機能である。 |
塔は、大気・水・土壌などを浄化して 生存に適した環境を拡大する一方、 再生した環境を脅かす要素、すなわち 人間を排除するため、内部で生産した 攻性生物を使役している。 |
しかし、長期間の稼動による消耗や 故障などの理由から、すべての塔が 機能しているわけではないので、 旧世紀の終わりから数千年を経た 今でも、環境再生は完了していない。 |
もっとも、塔の機能が十全であった ならば、我々を含む人間の絶対数は 現在よりさらに厳しく抑制され、 再生の手が届かぬわずかな地において より苛酷な生を強いられていたこと だろう。 |
塔とセストレン |
セストレンとは、旧世紀の管理意志の 座であり、空間断層によって隠された 絶対不可侵の遺跡であり、すべての 塔の制御を行う場である。 |
旧世紀において、塔は 「アレル・セストレン」すなわち 「セストレンの下僕」と呼ばれた。 すべての塔は、セストレンがこの世に 力を及ぼすための道具にすぎず、 セストレンが破壊されたとき、 塔は二度と目覚めぬ眠りにつく。 |
しかし、この世の者がセストレンに 触れるためには、空間断層を越える 「扉」を開かねばならない。 それは、すべての塔の中枢にひとしく 与えられているが、扉を開くための 手段は、まだ見出されてはいない。 |
辺境での作戦行動 |
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いまだ文明の光を知らぬ辺境の民は、 旧世紀の産物をいたずらに恐怖し、 愚かな信仰の対象とするのみである。 それら地に埋もれた遺産を、正当なる 継承者、すなわち皇帝陛下のもとに お返しするのが、我が軍に与えられた 使命である。 |
旧世紀文明の力は、地上にはびこる 攻性生物を駆逐し、再び人類を世界の 主人とするために行使される。 帝国の領土拡大は、より多くの遺跡や エンジンを確保するためであり、 それらは全て、攻性生物から人民を 守るために有効利用されるのである。 |
ゆえに、辺境の民の無意味な反抗に あっても、躊躇してはならない。 反抗は単に無知ゆえであり、帝国には 彼らを保護する義務があるからだ。 我が軍の戦いは侵略にあらず。目先の 情に惑わされず、常に大義をもって 行動することを望むものである。 |
旧世紀兵器の取り扱い |
アカデミーでは、優秀な人材による 研究が日夜行われ、旧世紀の技術に 関する謎は着実に解明されつつある。 エンジンをはじめとする機械類を、 帝国自らの手で生産するという目標が 達成される日は、もはや目前に迫って いるのである。 |
だが、現在我が軍の使用する兵器は 全て発掘物の修復・改造品であり、 絶対数は常に不足状態にある。ゆえに その取り扱いには細心の注意を払い、 動力の消耗を最小限に抑えるように 心がけねばならない。 |
対攻性生物戦 |
旧世紀の技術を持たぬ辺境の民は、 我が軍にとって脅威とはなり得ない。 真の脅威は、我が軍と同じく旧世紀の 力を有するもの、すなわち攻性生物で ある。生物兵器として強大な戦闘力を 与えられた彼らは、生身の人間では 到底対抗し得ない外敵である。 |
しかしながら、攻性生物の知能程度は 著しく低く、アカデミーの手によって その行動様式も解明されつつある。 我が軍の兵器・部隊編成・戦術は、 それらの研究に基づいて考案された ものであり、適切に運用されれば 絶大なる効果を発揮する。 |
ゆえに、兵士諸君に要求されるのは、 いかなる時も上官の命令に従い、 恐慌に襲われることなく、冷静に それを遂行することである。 さすれば、敵の種類・規模の如何に 関わらず確実に撃破できるであろう。 |
シーカーへの対処 |
辺境部族の中には、帝国の財産である 遺跡を、盗掘の目的で荒し回る一団が 存在する。 彼らはシーカーと呼称され、辺境では 一応の認知を得ているが、その行為は 帝国に対する反逆であり、発見しだい せん滅せねばならない。 |
シーカーは組織力が弱く、ハンターと 同程度の武装しか有していないので、 直接的な脅威とはならない。しかし、 発掘物を所持している場合が多いので 重火器の使用は控えるのが望ましい。 |
塔の探索 |
我が軍の最大の目的は、旧世紀の禁断 兵器『塔』を手中にすることにある。 皇室伝承によれば、各地に点在する 塔のそれぞれに、全世界を破壊して なお余りある能力が与えられていると いう。 |
かくのごとき巨大な力は、旧世紀 文明の継承者たる皇帝陛下のもとで 正しく管理されねばならない。それが 世界秩序の確立に貢献する道であり、 我が軍はそのためにこそ存在するので ある。 |
ドラゴンの捕獲 |
辺境では、ドラゴンが神の使いと 崇められているが、それは根拠なき 迷信である。 ドラゴンもまた攻性生物であり、その 驚異的な戦闘力は、我が軍に幾多の 被害を及ぼしている。 |
しかし、ドラゴンは最強の攻性生物で あると同時に、塔の機能と深い関係が あることが判明している。 ゆえに我が軍は、ドラゴンと塔の 秘密を明らかにするため、いかなる 犠牲を払ってもドラゴンを捕獲せねば ならないのである。 |
クールマ型水上前線基地は、2重の 可動防壁(それぞれ「外部防壁」 「内部防壁」と呼称)と、その内側に 配置された各施設から成っている。 その中でも、最優先で防衛しなければ ならないのが、基地の中央にある 司令塔である。(次ページ参照) |
基地の構造概念図 |
ゆえに、司令塔周囲の内部防壁は 常に閉鎖された状態にある。 これが開放されるのは、物資搬入時と 第2種警戒態勢発令時のみである。 |
外部防壁内の戦力が著しく消耗し、 内部防壁内の戦力投入が不可欠と 判断された時点で、第2種警戒態勢が 発令される。 ただし、内部防壁の開放は、同時に 司令塔への侵入を許すことになるので 戦力運用は慎重に行わねばならない。 |
『塔』発見〜引き上げまで |
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帝国暦89年2の月18日、 帝都近海の海底に、微弱な動力反応が 探知された。 予備調査の結果、これは休眠状態の 遺跡のもので、起動時の動力指数は 帝国の保有するあらゆる遺跡のそれを 凌駕しうると試算された。 |
慣例に基づき、予備調査によって得た 情報を皇室伝承と比較したところ、 当該遺跡は、旧世紀の禁断兵器 『塔』のひとつであることが判明。 皇帝陛下の勅命により、全ての発掘 作業は中断され、塔の再起動に全力が 注がれることとなった。 |
塔の休眠状態を破るため、第2機甲 連隊の全空中戦艦のエンジンから 動力を引き出し、外部刺激として 使用した。 塔が起動準備状態に移行し、完全に 浮上するまでには、12日間の連続 稼動を要した。 |
ドラゴンの出現 |
塔の引き上げ成功を機に、本格的な 調査が開始されたが、起動に必要な 要素の解明は困難を極めた。 外部刺激実験も引き続き行われたが、 浮上以後、明確な反応は確認できなく なっていた。 |
停滞した状況を打破したのは、辺境で 入手された、情報保存系の発掘物で あった。それに記録されていた情報を 分析した結果、塔はドラゴンと密接な 関係にあることが判明したのである。 |
時を同じくして、帝都東方97000 リオンの地点にて、2頭のドラゴンが 発見された。 第9発掘所方面へ飛行中のドラゴンを 捕獲するため、ただちに国境付近に 捕獲部隊が展開された。 |
だが、ドラゴンの戦闘力は、現存する 兵器をはるかに超えるものであった。 建造中の試作兵器をも投入した深夜の 戦闘は、捕獲部隊と発掘所の全滅と いう、最悪の結果に終わった。 |
塔の起動と自爆 |
発掘所を破壊したドラゴンが、帝都 防衛線に接近した時点で、軍司令部は ドラゴンの捕獲を断念。 残存部隊をもって迎撃にあたったが、 撃滅は不可能であった。 |
防衛線を突破した2頭のドラゴンは、 戦闘を行いつつ、帝都を経由して塔に 接近。これと前後して、塔の活動に 変化が生じ始めた。 |
まず、動力反応の上昇とともに、 海中から大規模な攻性生物群が出現。 さらに、外殻が展開し、1頭の ドラゴンを収納したのち、完全起動 状態に入った。 |
しかし、もう1頭のドラゴンの突入に よって、塔の動力は暴走、自爆して 完全に消滅した。 この直前、塔に収納されたドラゴンが 巨大化して、もう1頭と最後の戦闘を 行ったという報告も存在するが、その 真偽は不明である。 |
塔による被害と新防衛構想 |
帝都内におけるドラゴン同士の戦闘、 海中から出現した攻性生物の攻撃、 さらには塔の自爆によって、帝都の 約6割の地域が壊滅的打撃を受けた。 |
幸い、王宮とアカデミーの被害は 軽微なものであったが、これを機に 帝都(特に王宮)の防衛構想が大幅に 見直されることとなった。その結果、 超大型空中戦艦「グリグオリグ」の 建造が開始されたのである。 |
帝都上空を周回するグリグオリグは、 それ自体が宙に浮かぶ王宮である。 これが完成した暁には、たとえ ドラゴンといえども、皇帝陛下に 危害を加えることは不可能であろう。 |
シェルクーフの発見 |
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帝国暦71年6の月10日未明、 全長2100リオンに及ぶ直方体の 飛行物体が、攻性生物や戦艦を伴って 国境方面に進行中であることを、 メッカニア連邦領土内に侵入していた 探索部隊が確認した。 |
皇帝陛下の勅命により、当該飛行物体 (現地語に基づき「シェルクーフ」と 呼称)の追跡が開始されたが、探索 部隊と合流する時点で、メッカニア 連邦軍と衝突。全面戦争に発展する 結果となった。 |
なお、メッカニア併合後に行われた 調査によって、シェルクーフは 探索部隊との遭遇前に、飛行コースを 突如変更して、エルピス地方の村落を 雷撃によって全滅させている事実が 判明している。 |
コース変更の理由は不明だが、攻撃の 対象となった村落では、クーリアが 多数飼育されており、それが何らかの 形でシェルクーフを呼び寄せたのでは ないかとする説が有力である。 |
捕獲部隊全滅の経緯 |
メッカニア軍との戦闘によって シェルクーフの追跡が中断、位置が 不明となったため、捕獲部隊は シェルクーフの予測飛行コース上の 森林地帯に戦力を展開、監視体勢を 整えた。 |
この時、森林上空で新種の攻性生物が 発見された。 既存の攻性生物の体系のいずれにも 属さないこの個体は、辺境の伝承から 「ドラゴン」と命名され、調査のため 別働隊が編成された。 |
しかし、別働隊の報告を待たずして、 シェルクーフとともに確認されていた 大型戦艦が出現。捕獲部隊と交戦 状態に入った。 戦艦はわずか1隻であったが、その 戦力は圧倒的であり、数分間の戦闘で 部隊の大半が撃破された。 |
撤退した残存部隊の報告に基づいて 編成された第2次捕獲部隊は、 ゲオルギウス付近でシェルクーフに 遭遇、接触を図ったが、その表面に 設置されていた雷撃兵器の集中攻撃を 受け、全滅に至った。 |
奇跡的に生還した士官の証言によれば ここでも全滅直前にドラゴンの姿が 目撃されている。しかし、その外見は 第1次捕獲部隊の報告にあるそれとは 著しく異なっており、誤認ではないか との見方もある。 |
シェルクーフの失踪 |
これ以上の戦力消耗は、メッカニア 侵攻作戦に影響を与えると判断した 軍司令部は、第2次捕獲部隊の全滅を もって、シェルクーフ捕獲作戦の無期 延期を決定。全兵力を侵攻作戦に投入 した結果、9の月3日、メッカニア 連邦は、正式に帝国の属領となった。 |
その後、改めて追跡調査が行われたが 予測飛行コース上にシェルクーフの 姿はなく、ただ大規模な戦闘跡を 無数に確認するのみであった。 シェルクーフは、この戦闘によって 破壊されたと思われるが、それを可能 ならしめた戦力の実体は不明である。 |
ドラゴンの戦闘力 |
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ドラゴンの主な武器は、口腔内より 発射される複数の雷撃である。この 雷撃は、目標に向けて屈曲するという 特異な性質を持っている。 また、個体によっては、若干の 追尾性を備えた実体弾や、生体粒子の 波動を放つことが確認されている。 |
いずれの武器も、我が軍の保有する 同種兵装のそれをはるかに上回る 破壊力を有している。アカデミーの 試算によれば、ドラゴン1頭の潜在 能力は、最低でもヴァルナ級空中戦艦 50隻に匹敵するという。 |
ドラゴンの乗り手 |
ドラゴンに関する記録の中で特に注目 すべきは、その背に人間を騎乗させて いたという目撃例であろう。 クーリアなど、退化したごく一部の 種を除けば、このような行動を示す 攻性生物は皆無である。 |
この「乗り手」の正体は不明だが、 ドラゴンと連携した俊敏な反応や 高度な戦闘行動は、普通の人間には 不可能なわざであり、アカデミーでは 攻性生物に類する人型の創造物では ないかとする説が有力である。 |
ドラゴンと『塔』 |
旧世紀の記録によれば、ドラゴンと 禁断兵器『塔』は、何らかの形で同調 しているという。 この解釈として、アカデミーでは 「ドラゴン=塔の守護者」説と 「ドラゴン=塔の破壊者」説の2つが ほぼ同等の支持を得ている。 |
帝国暦89年の『塔』起動実験に おいて、2頭のドラゴンがまったく 相反する行動をとったことが 解釈の混乱を招いているのだが、 これに関しては、いまだ情報不足で あると言わざるを得ない。 |
メル=カヴァの破壊方法 |
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ゾアの街の言い伝えには、 メル=カヴァを支える「両輪」という 表現がある。 古くさい言い回しだが、要するに メル=カヴァは2基のエンジンで 飛んでいるということが言いたい らしい。 |
当然、メル=カヴァを落とすためには そのエンジンを壊せばいいわけだが、 そこまでの道は「死の光を放つ番人」 (これも言い伝えにある呼び方だ)に ふさがれている。たぶん、自律型の 砲台みたいなものだろう。 |
ただ、こいつには、普通に戦っても 勝てないような秘密があるらしいから 注意が必要だ。 「番人」に出くわしたら、その近くを よく調べてみてくれ。なにか特別な 設備があるかもしれない。 |
光の粒子 |
メル=カヴァの各部からは、光の 粒子が吹き出している。俺が飛ばした 記録機械の端末は、この粒子に 触れたとたん破壊されてしまった。 たとえドラゴンでも、粒子の流れに まともにぶつかれば、吹き飛ばされて しまうにちがいない。 |
粒子の噴出口を壊しておくのが、一番 いいやり方だろう。 中には、噴出口を全部壊さないと 先に進めないところもあるらしいから せいぜい景気よくやってくれ。 |
粒子が止められない場合は、なんとか 当たらないようにするしかない。 特にエンジンからは、絶え間なく 粒子が降り注いでいるので面倒だが、 それから身を守るための仕掛けも どこかにあるはずだ。 |
「編み人」ノアデアによる記録。 遺跡内にある機械のほとんどは エンジンなどの動力系構造体だが、 ごくまれに、映像や音声を記録する ための、情報系構造体が発見される ことがある。 |
我々シーカーが、塔とセストレンに よる管理システムの存在を知ることが できたのも、情報系構造体の再起動に 成功したからだが、この種の構造体の 一部には、情報の記録以外にも重要な 機能が存在することがわかった。 |
それは、攻性生物の行動を制御する 力場を発生する機能である。 おそらく、記録されている情報を保護 するためのものだろう。 ただし、構造体の動力が小さいので、 力場の範囲と効力はかなり限られる ようである。 |
これをうまく利用すれば、我々の里を 攻性生物から守る手段として使える かもしれない。今後も、この種の 構造体の研究は、積極的に続けていく 必要があるだろう。 |
10の月19日 |
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ていこくのしごとをうけて この はっくつじょうについてから もう 2しゅうかんになる。 ていこくのやつらはなにかをひっしで さがしている。 せきにんしゃの じいさんは もう20ねんちかく そいつを さがしているらしい。 |
きょうもおめあてのものは みつからなかったようだ。 あいかわらず やつからのれんらくは こない。 |
10の月25日 |
あのデッカイふうしゃのおかげで こうせい生物もほとんど よりつかない。 ここはおもったよりも らくなしごと だったかもしれない。 |
今日のゆうがた やっとやつからの れんらくがとどいた。 どうやら ていこくアカデミーは すごくあたまのいいやつしか 入れないところらしい。 やつは がっこうに入るほうが さき だろうといっていた。 |
11の月8日 |
あいかわらず発掘じょうは、ガラクタ ばかりほりおこしている。 つうしんきで やつと話しをした。 てい国のがっこうにはいるためには それなりにたくさんのお金がいる らしい。 |
だがやつのいう金も むりをすれば はらえないがくじゃない。 おれのからだも あといく年かは まともにはたらいてくれるだろう。 |
12の月20日 |
この俺が ガラにもなくこんな日記 なんかつけはじめたのは やはり あいつのためかもしれない。 おもえば 親がわりだなどと 口はばったいことも、何度も言ったが これといって おやらしいことは いままで なにもしてやれなかった。 |
いまだによみ書きがまともにできない おれとちがってエッジはあたまもいい なんとかして 帝国のがっこうに いれてやりたいとおもう。 へんきょうの よう兵などまっとうな にんげんのするしごとじゃない。 |
このしごとがおわったら あいつを 帝国へつれていってやるつもりだ。 しょうらい あいつがえらくなっても おれのことであいつがバカにされたり はずかしいおもいしないように 俺もあしたから日記だけじゃなく すこしべんきょうもしようとおもう。 |
エッジはいつか、おれのことを おやじとよんでくれるだろうか。 |